塗装の回り込みを軽減!シリコーンゴム塗装マスク治具の事例

製品名ゴムマスク治具
使用先塗装時の塗料入りこみ防止のための治具
金型コンプレッション金型
材料シリコーンゴム一般グレード 硬度60°
数量1Lot:5,000個

製品のご紹介

身の回りのプラスチックや金属の部品の大半は表面に塗装処理が施されています。

塗装の目的はさまざまで、デザイン性を向上させるために色を付けたり、光沢感を表現したり、機能性を向上させるために傷つき難いように表面を硬く保護したり、指紋や汚れが付着し難いような塗料でコーティングしたりと多種多様です。

このように身近な塗装部品ですが、実は塗装加工は非常に高い技術が求められる加工方法の一種なのです。お客様の仕様要求を満たすためには、液体である塗料をコントロールし、大量の部品全てに一定の塗装膜厚をキープして塗布する技術が求められます。設備・環境・塗装条件の設定などにおいても数多くのノウハウがなければ大量に不良品を作ってしまい利益を圧迫したり、顧客への部品供給を脅かす事態を招く危険性もあります。

また、組立を行う部品においては、相手部品と組み合わせるための勘合箇所に塗料が回り込むと塗料の膜厚が原因で部品が組めなくなったり、挿入性が悪くて組立工数にロスが出てしまう、などの問題が発生します。そのため、勘合に影響する箇所にはできる限り塗料が入り込まないように治具などを使ってマスキングを施す必要があります。

こちらの記事ではゴムで製作したマスク治具についてご紹介します。

お客様のご要望

こちらの案件は、塗装を施すための部品図面と塗装を回り込ませたくないエリアについての情報を入手するところから開始しました。基本的には塗装を回り込ませたくない範囲にはプラスチック製や金属製のマスク治具を装着し、塗料が入らないように壁を作ります。

しかし、中には部品の裏側に相手部品と勘合させるための穴形状が設置されている部品もあります。塗装時にエアー圧で噴射された塗料がミスト化して裏側に入り込んでしまうと寸法にバラつきが生じます。高い精度を要求される部品においては塗膜と相手部品が干渉することで勘合がキツくなり、予期せぬ不具合を招く危険性もあるため、できる限り塗料の回り込みを抑える治具を作る必要があります。

・塗装では塗りたいエリア、塗りたくないエリアを分けるためにマスク治具を使う
・塗料は液体かつエアー圧によりミスト化しているため裏面への回り込みは防ぐことが難しい
・勘合に関する部分は塗料が回り込むと寸法が変化してしまい、組立時、組立後に不具合が生じる危険性がある

マスク治具の設計

お客様からヒアリングしたご要望と構想図をもとに3D-CADでモデリングを行います。自社で部品の設計→材料のご提案→金型加工→成形までスピーディな対応ができることがSMOOSの強みです。

マスク治具の設計は、装着する相手部品の形状・寸法と塗料を巻き込ませたくないエリアの情報をもとに行います。特にマスク治具の着脱性については塗装準備のサイクルにも関わってくるため非常に重要なポイントです。シリコーンゴムのマスク治具自体も寸法がバラつくため、これらを総合的に考慮した上で設計を行います。

また、塗膜が厚い場合は相手部品とマスク治具に覆い被さるように塗膜が形成されます。その際は、マスク治具を取り外した際に塗膜に亀裂が入り、バリのようになってしまうことがあります。これらを回避するためにはマスク治具の形状が重要となってきます。

塗装マスク治具を作成するためには、製品の用途はもちろんのこと、塗装のメカニズムを理解した上で形状を設計することが重要となります。

コンプレッション成形によるマスク治具の加工

設計した3Dデータをもとにお客様と塗装前のマスク治具の着脱工程において問題がないかを確認します。SMOOSは自社で3Dプリンタを保有しているため、試作部品を作成することで現場での実作業をイメージしながら持ち手形状の長さや太さなどを調整を簡単に行うことができます。

形状の合意が取れた後は、3Dデータをもとに金型を設計し、金型の加工を行います。金型が狙い寸法通りに仕上がっていることを確認した後は、コンプレッション成形にて部品の加工を行います。

ご予算や納期、必要数に合わせて金型の取り数をご提案し、最適なトータルコスト案をご提示いたします。

提案、設計、金型加工、部費品加工までを自社で対応できるため判断を含むスピード、柔軟な対応力が強みです

シリコーンゴムのマスク治具のメリット

今回は穴形状のマスキングが必要であったため、完全に塗料の回り込みを防止するためにシリコンゴム材料を提案しました。

プラスチックは硬いため、マスクする穴形状よりも小さい寸法で治具を加工する必要があります。そうすると穴形状とマスク治具の間に隙間ができてしまうため、完全に塗料の回り込みを防ぐことができません。シリコンゴムであれば、柔軟性もあるため強く押し込むことで塗装の回り込みを防ぐこともできる上、治具装着時に部品自体を傷つけるリスクも少ないというメリットがあります。

また、プラスチックのマスク治具は塗装で使用する度に塗膜分の厚みが増えていくため、ある程度使用した後は廃棄し、費用をかけて再び治具を成形加工しなければなりません。しかし、シリコーンゴムのマスク治具であれば洗浄して再利用することができることも特長の1つです。

・シリコーンゴムのマスク治具を使用することで穴形状を完全に防ぐことができるため、塗装の回り込みを最小限に抑えることができる

・シリコーンゴムのマスク治具は洗浄して再利用することができるため、治具の作成費用や廃棄ロスを抑えることができる

シリコーンゴムの可能性

シリコーンゴムは柔らかい特性を持っているため、こちらの事例のようにプラスチックでは実現が困難な塗装の回り込みを軽減する治具を作ることができます。シリコンゴムは皆様が手にされる製品の加工だけでなく、塗装をはじめとするものづくりの加工用の治具としてもさまざまな可能性を秘めています。私たちSMOOSは長年のものづくり経験による提案力と自社で設計、金型製作、成形が一連で対応できるからこそ、シリコーンゴムの可能性を十分に引き出しつつ、スピーディかつ柔軟な対応が可能となります。

ものづくりについて何かお悩みやご質問がある方は気兼ねなく以下のお問い合わせページよりご連絡をお願い致します。