シリコンゴムの可能性!多機能カップリッドの設計事例

顧客名サンナップ株式会社 様
製品名ANDSCAPE リユースシリコーンリッド
使用先紙コップで使えるシリコーンリッド(蓋)
金型コンプレッション金型
材料シリコーンゴム一般グレード 硬度60°
数量1Lot:10,000個

製品のご紹介

サンナップ株式会社様よりご依頼を頂いた「ANDSCAPE リユースシリコーンリッド」の製品のアイデアから形状を決定させて行くまでのノウハウをご紹介します。

こちらの製品は紙コップに使えるシリコーンリッド(蓋)です。ほこりなどの混入を防ぐ飲み口プッシュ機構が付いているので、倒れた際も一気に流れ出ることはありません。さらには風に飛ばされにくいコースター機能も付いているのでアウトドアで便利にお使い頂ける製品です。洗って使えるので脱プラにも貢献いたします。

なお、実際の製品形状については以下の画像リンクからサンナップ株式会社様のECサイトにアクセス頂き、ご確認をお願いします。

お客様のご要望

こちらの案件は以下のような構想図を頂くところからスタートしました。まずは作りたい製品のコンセプトや機能、形状案などについて、背景や想いなどについてもしっかりとヒアリングを行います。ものづくり及び量産加工における制約事項などをSMOOS からご提示させて頂いた上で、できる限りお客様のご要望を満たすご提案を行い、仕様を固めていきます。

・アウトドアで使えるような紙コップのリッド(蓋)を作りたい
・飲料が漏れないようにパッキン的な機能を持たせたい
・飲み口に飲料が集まりやすいようにリッドに傾斜形状を設置したい
・飲み口にゴミやほこりが入りづらいように壁形状を設置したい
・飲む時に鼻がリッドに当たらないような形状にしたい

3D-CADでモデリング

お客様からヒアリングしたご要望と構想図をもとにSMOOS が3D-CADでモデリングを行います。私たちは自社で部品の設計→材料のご提案→金型加工→成形まで一気通貫な対応ができることが強みです。そのため、難しいご要望に対しても柔軟かつ早いスピードで対応が可能です。

3D-CADでモデリングを行う際には部品の形状や寸法まで細かく作り込みを行います。

形状によっては金型の構造が複雑になるため初期コストが大幅に上がってしまう可能性があります。そのため1つ1つの形状についても機能、デザインのどちらの要素で必要としているかを確認し、ご予算に合わない場合は他の形状での代替え提案などを行います。

図の中の赤印部分はアンダーカットと呼ばれる形状です。アンダーカットとは金型から製品を取り出すときに、金型に引っかかる形状のことです。シリコーンゴムは柔らかいためアンダーカットの形状を無視して強引に離型することが多いですが、アンダーカット形状のサイズや角度、材料の種類や硬度によっては離型時に製品が破損してしまうこともあります。そのため、成形性にも配慮した上で3Dモデリングを行うノウハウが重要となります。

シリコンゴムの特性を活用し、飲み口にフタ機能のご提案

3D-CADでモデリングを行うことにより、お客様もより具体的なイメージを持つことができます。その結果、さらなるアイデアとして、飲み口にフタを付けることはできないか?というご要望を伺いました。

当初、飲み口の部分は穴が空いている形状であったため、穴部分からホコリやゴミが入ったり、倒してしまうと飲料がこぼれたりするという問題がありました。通常、飲み口の穴にフタをするためには専用のフタ部品が必要となりますが、部品及び金型費用も必要になるため必然的に値段も上がってしまいます。しかも、ユーザとしてもフタを無くしてしまったり、壊してしまったりすると使用感も悪くなるなどのデメリットが想像されます。

ご要望を叶える提案として、シリコンゴムの柔軟性を活かし、飲み口の部分が上下に可動する形状を提案しました。飲み口の部分に上下に可動する突起を設置し、側面に飲料が出てくる穴形状を設置します。突起の状態によってフタ機能を成立させるアイデアを立案することで前述したデメリットを回避することに成功しました。また、ゴムの材料の選定も重要な要素であり、硬度や特性などに関する知見が非常に重要となります。

突起が上側に出ている時・・・穴形状から飲料が出てくる
突起が下側に押し込まれている時・・・飲み口の穴形状の隙間が狭くなるため、飲料が出づらくなる。

風に飛ばされないようなコースター機能のご提案

シリコーンリッドはアウトドアで使用されることを想定した製品です。紙コップは軽いため、飲み物の残量が少なくなると少しの風が吹いた際にコップが転けたり、飛ばされたりすることが多々あります。そうすると中の飲み物がテーブルにこぼれたり、最悪な場合は衣服を汚してしまい、せっかくのアウトドアの楽しい気分が台無しになってしまうことがあります。

その中でシリコーンリッドを使って紙コップの重しにできないか?というご要望を頂きました。

ここでは、コースターとして紙コップをホールドする機能を実現しました。紙コップの底径が47mmであることが条件となりますが、シリコーンリッドに紙コップの底が嵌まる直径の凸形状を設置しました。凸形状についても着脱機能を持たせるためには以下のようなポイントに配慮しながら設計を行い、製品化を実現しております。

紙コップとシリコーンリッドを取り付ける場合・・・天面はR形状を設置したり側面部は台形形状になるように勾配を設置した方が良い

風などの影響を受けて外れないようにする場合・・・天面のR形状は小さく、側面の勾配の角度も少なくした方が良い。

シリコーンゴムの可能性

シリコーンゴムは柔らかい特性を持っているため、こちらの事例のように1つの形状でフタの機能を持たせることができたり、勘合によりホールドさせる機能を持たせたりと、さまざまな可能性を秘めています。私たちSMOOSは長年のものづくり経験による提案力と自社で設計、金型製作、成形が一連で対応できるからこそ、シリコーンゴムの可能性を十分に引き出しつつ、スピーディかつ柔軟な対応が可能となります。

ものづくりについて何かお悩みやご質問がある方は気兼ねなく以下のお問い合わせページよりご連絡をお願い致します。